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Prolific vomiting in dogs~犬が嘔吐を繰り返す謎めいた消化器疾患~

投稿者:武井 昭紘

Prolific vomiting in dogs。

強いて日本語訳を付けるならば「犬の多発性嘔吐」となるこの病気は、現在、イギリスの小動物獣医師会(British Small Animal Veterinary Association、BSAVA)とリバプール大学が運営するSmall Animal Veterinary Surveillance Network (SAVSNET) が精力的に調査を進めている消化器疾患だとのことである。そして、それによると、当該疾患の概要は以下の通りだという。

◆SAVSNETが調べているprolific vomiting in dogsとは◆
・12時間で5回以上の嘔吐を呈する病態
・胃腸炎と診断するには回数が多すぎる嘔吐
・流涎が起きない
・一部の症例では水様性下痢と虚脱が起きる
・嘔吐が止まった後も1週間前後の食欲低下を呈する
・異物や膵炎を原因としていない
・混合ワクチンの接種・未接種によって症状の発現は左右されない
・季節性および病原体の関与は不明
・犬から犬への伝染を訴える獣医師が居る(該当する症例が来院すると4~6週に渡って嘔吐症例が増加)
・ヒトへの伝染は確認されていない
・対症療法で症例は回復する

 

同調査チームは何かに追い詰められたかのように懇願する。
『微生物学的検査に利用できるサンプル提供に是非とも協力して欲しい』と。

詰まろところ、サンプルが集まらなければ、病態あるいは発症メカニズムの解明もままならないというのだ。果たして、prolific vomiting in dogsは、未知の病原体による新しい感染症なのか。今後のSAVSNETの動向に注視して、その行方を見守っていきたい。

rolific vomiting in dogsが、コロナウイルスによる新型肺炎のような感染症でないことを願っております。

 

参考ページ:

https://www.liverpool.ac.uk/savsnet/dog_vomiting_potential_outbreak/


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