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ある出来事をキッカケにチワワが発症した世界初の上皮小体機能低下症

投稿者:武井 昭紘

◆上皮小体機能低下症とは◆
生体内の代謝をコントロールする甲状腺の傍らに位置する副甲状腺(上皮小体)の低下が起きる病態のことで、何らかの原因、例えば、頚部外傷、頚部の腫瘍摘出術(誤って上皮小体を摘出)、上皮小体の炎症などによって発症し、パラソルモン(PTH、上皮小体から分泌されるホルモン)の不足と、それに続発する症状(低カルシウム血症など)を呈する内分泌疾患である。

 

以上が当該疾患の概要なのだが、2020年1月、フロリダ大学付属動物病院らが、冒頭で記した概要に、「世界初の原因」による犬の上皮小体機能低下症の病態を追加したことが分かった。

 

なお、同院らによると、頚部に重度の裂傷を抱えたチワワ(未去勢雄、3歳)を診察したところ、気管と経静脈が露出しており、且つ、右側の甲状腺の一部が損傷していることが判明し、罹患個体は、外傷から48時間後に、振戦と高体温を伴う低カルシウム血症を発症したとのことである。そして、その裂傷(上皮小体機能低下症)の原因は、「大型犬に頚部を咬まれた」であったという。

上記のことから、結果論になるのかも知れないが、犬の同士の闘争や遊びは、上皮小体機能低下症の原因となり得ることが窺える。よって、今回紹介した症例が如く被害者にならないように、あるいは、小型犬の首を咬む大型犬が如く加害者にならないように、日々、愛犬がオーナーの指示に従って冷静に行動する訓練を積み重ねることが大変に重要だと考えられる。

この症例報告のチワワは、カルシウム製剤とビタミンDを用いた6ヶ月間の加療で、無事回復したとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31944542


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