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Vaccination Against Canine Cancer Study~新しい癌ワクチンの効果を検証する臨床試験~

投稿者:武井 昭紘

人医療および獣医療において、悪性腫瘍(癌)に対する治療法の開発・改良は、終わることなき(これくらいで良いかと満足することのない)永遠の課題であると言え、現在でもなお、様々な研究が世界各地から報告されている。その中でも、癌ワクチン(の開発)は、担癌患者・動物に腫瘍細胞を自己の免疫機能で攻撃する能力を付与する効果を発揮すると考えられており、非常に注目度の高い分野として認識されている。しかし、多くの癌ワクチンは、ある特定の腫瘍細胞にのみ有効であることが一般的で、あらゆる腫瘍細胞に利用できる万能性を持ち、汎用性に富んだ製剤ではないことが現状となっている。

そのような背景の中、アメリカの大学ら(コロラド州立、カリフォルニア、ウィスコンシン)は、癌の種類、動物種を越えて腫瘍細胞が産生する抗原に焦点を当てて、「特定の」ではなく、「複数の」癌に効くワクチンの開発を目指したVaccination Against Canine Cancer Studyを進めている。なお、同臨床試験は、現在、条件(リンク先をご参照下さい)を満たした犬の参加を呼びかけており、症例数を増やしている段階だとのことである。

上記のことから、今回紹介した試験が成功を収めれば、万能で汎用できる癌ワクチンの製品化に大きく近づくものと思われる。よって、これからの動向に注視するとともに、このワクチンが悪性腫瘍で苦しむ多くの犬を救う未来が訪れることを願っている。

近い将来、新しい癌ワクチンが世界中に流通することを期待しております。

 

参考ページ:

https://www.csuanimalcancercenter.org/vaccination-against-canine-cancer-study


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