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オーストララシアにて初めて確認された犬の播種性アスペルギルス症の一例

投稿者:武井 昭紘

播種性アスペルギルス症とは、自然界に広く分布している糸状菌の一種であるアスペルギルス属が動物の体内に侵入して日和見感染をする疾患で、呼吸器のみならず、中枢神経系、肝臓、脾臓、腎臓、リンパ節などにおける病原体の増殖に伴う様々な症状を発現する真菌性感染症である。また、当該感染症は、世界的にはヒトや犬で起きることが報告されているのだが、オーストララシア(オーストラリア大陸、タスマニア、ニュージーランド、ニューギニアと、その周辺の島々)では確認されていないとされている。

そのような背景の中、西オーストラリア州の沿岸に位置する都市パースに拠点を構えるマードック大学らは、オーストララシアで初めて確認された犬の播種性アスペルギルス症の一例について報告を行った。なお、同報告によると、慢性的な発咳と体重減少を抱えるロットワイラー(2歳齢)の診察をしたところ、リンパ節(浅頚、胸腹部)、肝臓、脾臓が腫脹するとともに気管支拡張症を呈しており、リンパ節からはAspergillus caninusのITS(Internal Transcribed Spacer、内部転写領域、16S rRNAと23S rRNAの遺伝子の間にある配列)を検出することに成功したとのことである。

上記のことから、マードック大学らは、「ロットワイラーは播種性アスペルギルス症を発症していた」と結論づけた。よって、このオーストララシア初の症例報告が、犬の播種性アスペルギルス症を今以上に詳細に解析するキッカケになることを期待している。

本症例は、イトラコナゾール投与によって、7ヶ月以上生存しているとのことです。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31852374


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