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CDCが発表したカナダにおける犬インフルエンザウイルス感染症のアウトブレイクに関与した感染源

投稿者:武井 昭紘

犬のインフルエンザウイルス(canine influenza virus、CIV)感染症は、2004年にアメリカはフロリダ州で初めて発見された比較的新しい感染症で、罹患した個体は高熱(40~41℃)と2-3週間持続する咳を伴ったケンネルコフ様の症状を呈するも、抗生剤や鎮咳薬で治癒経過を辿らず、死亡することもある危険なウイルス性疾患として知られている。そのため、CIV感染症を制圧するためには、感染源の特定・隔離と、ワクチネーションプログラムの徹底的な実行が重要だとされている。

そのような背景の中、アメリカ疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention、CDC)は、2017年から2018年にかけてカナダで発生した100件を超えるCIV感染症(アウトブレイク)に関して、ある発表を行った。なお、同センターによると、一部の症例における感染源となった犬が韓国または中国から輸入されており、彼らに感染していたインフルエンザウイルスはH3N2であったというのだ。

ここで、地理的な位置関係を冷静に考えると、韓国、そして、中国の隣国は、アメリカやカナダがある北米ではなく、我々が暮らす日本なのである。つまり、前述したCDCの発表(アウトブレイク)は対岸の火事とは全く言えず、私たちの目の前に差し迫った危機だと考えることができると思う。よって、早急に、本国の政府および獣医師会が中心となって、CIV感染症に対する防疫対策がガイドライン化されるとともに、CIVワクチンが備蓄されていくことを願っている。

今回CDCが発表した症例には、感染源不明のものも含まれているため、これからの解析によって、全ての感染源が明らかになることを期待しております。

 

参考ページ:

https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/25/10/19-0196_article


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