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犬のパルボウイルス感染症に対する動物病院の対応について調査したオーストラリアの研究

投稿者:武井 昭紘

日本でもそうであるように、現在、世界中で犬のパルボウイルス(Canine parvovirus、CPV)感染症の発生が問題となっており、発症した個体が白血球の減少や重度の消化器症状を伴って致死的経過を辿らないように、情勢に合わせて予防対策を講じることが、各国の獣医療における重要な課題となっている。

 

そのような背景の中、2018年にオーストラリアにおけるCPV感染症についての実態調査を26年ぶりに行ったシドニー大学が、2019年11月、当該感染症について追加の調査結果を実施したことを発表した。なお、今回の発表では、500件を超える動物病院にアンケートを依頼し、以下に示す結果が得られたとのことである。

◆オーストラリアにおけるCPV感染症の疫学と動物病院の対応◆
・回答が得られた動物病院におけるCPV感染症例は推定の10分の一にあたる2000件であった(推定では20000件)
・罹患個体の死亡率は50%であった(過去の報告より2.7倍以上高い)
・約半数の動物病院が子犬に対するワクチン接種をガイドラインより早く終わらせていた
・約3%の動物病院でワクチンの再接種をする時期をガイドラインより長く延長していた

 

上記のことから、過去に比べて遥かに上昇した死亡率は、ワクチン接種ガイドラインの不徹底が一因となっている可能性が示唆されているものと思われる。よって、オーストラリアでのCPV感染症の高い死亡率を低下させるためには、治療費の高騰を抑えること(リンク先の記事をご参照下さい)と並行して、ワクチン接種ガイドラインに関する「卒後教育」によって、獣医師の意識を根底から変える必要があると考えられる。

オーストラリアの政府や獣医学組織が一丸となって、犬の福祉向上のために、今以上にCPV感染症に対する予防対策と向き合うことを切に願っております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31731035


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