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フラッシュグルコースモニタリングシステムを用いた犬の糖尿病管理に関する研究

投稿者:武井 昭紘

フラッシュグルコースモニタリングシステム(flash glucose monitoring system、FGMS)とは、糖尿病患者が日々、自分自身の血糖値を測定する際に避けては通れない針の刺激(痛み)と、それに対する不満を解消するために開発されたもので、皮膚に貼られたパッチ状のセンサーが微弱の電気を発し、「痛みを伴わず」に、且つ、「瞬時に」組織間質液中のグルコース濃度を読み取り、血糖値へと換算する技術である。

と、ここまで聞くと、多くの獣医師およびペットオーナーが、
「犬や猫の糖尿病管理に同システムを応用できれば・・・」
と願いにも似た意見をお持ちになるのではないだろうか。

そこで、本稿では、その願いを叶えるかも知れない研究を紹介したい。

 

なお、イタリアのボローニャ大学が発表した研究によると、糖尿病性ケトアシドーシス(diabetic ketoacidosis、DKA)に罹患した犬にFGMSを適用し、「換算された」血糖値を観察したところ、グルコースメーターに表示される血糖値と近似する測定結果を得ることに成功したとのことである。

上記のことから、ヒトの糖尿病管理を向上するためにリリースされたFGMSは、小動物臨床でも有用であることが窺える。よって、今後、体外診断検査システムの精度基準を規定したISO15197をクリアできるように、犬用にFGMSが調整され、世界各地の一般の動物病院へと同システムが普及していくことを願っている。

猫の糖尿病やDKAについても、FGMSの有用性が検証されることを願っております。

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31725202


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