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脾臓の血管肉腫を罹患した犬における死の転帰を改善するためのトライアル

投稿者:武井 昭紘

犬の血管肉腫(hemangiosarcoma、HSA)は、統計学上、年間10万匹を遥かに超える症例が死の転帰を辿り、脾臓に発生した場合、病変を外科的に摘出しても僅か50日、手術後、ドキソルビシンによる化学療法を実施しても6〜10ヶ月以内の生存期間となってしまう悪性腫瘍として知られている。故に、当該疾患における術後の転帰を改善する治療法の考案は、獣医療が克服すべき「必須」の重要課題と考えられているのである。

そのような背景の中、タフツ大学は、脾臓のHSAと診断された犬を対象にして、冒頭の課題を解決するためのトライアルを開始した。なお、同トライアルでは、内臓機能に大きな異常を認めない、且つ、無治療て10kg以上の症例(ステージ2または3のHSA)を募集しており、血液サンプルから、化学療法に対する反応性および再発の可能性を評価できる遺伝子を探るとのことである。

上記のことから、今回紹介したトライアルで、目的に即した遺伝子検査が確立されれば、脾臓のHSAに罹患した犬の術後経過が予想できるようになるものと思われる。また、今後、発見された「死の転帰に関わる遺伝子」の機能が詳細に解析され、これからHSAを発症する犬たちの生存期間を延ばす新しい治療法が開発されることを願っている。

トライアルに参加する犬には、4000ドル(約43万円)相当の医療費がプレゼントされるとのことです。

 

参考ページ:

https://trials.vet.tufts.edu/clinical_trials/improving-outcomes-for-dogs-with-hemangiosarcoma/


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