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心原性肺水腫のレントゲン画像ファイルの種類と診断精度を比較した研究

投稿者:武井 昭紘

近年のデジタル機器または技術は、日常生活は勿論のこと、人医療でも「その発展・有用性」を強く実感できるほどに深く浸透し、我々の携わる動物医療業界にも広く普及し始めていることは、読者の皆様(獣医師・動物看護師)に賛同して頂けるものと推察している。中でも、筆者は、画像診断分野でのデジタル化の推進は非常に目覚ましいと思っており、撮影した画像データをパソコンやスマートフォンに取り込めば、物理的に遠く離れた専門家にも簡単に送信でき、彼らの意見(所見)を瞬間的に得ることができる点について、大きなる感動を受けている次第である。

 

だが、しかし、悩みがない訳ではないのだ。デジタル化の高い利便性の裏で常に、ある疑問が付き纏う。

 

『画像データの保存形式は、診断精度に影響しないのか—–?』

 

そして、ここに、一つの回答を示した研究が、ブラジルのパラナ連邦大学より発表された。

なお、同大学によると、本研究では、放射線科および循環器科の専門医に協力を仰ぎ、心原性肺水腫の犬の胸部レントゲン画像(120例以上)に対する所見を伺って、①DICOMファイル(高解像度で画像を見る設備を使用)と②JPEGファイル(スマートフォンを使用)における診断精度の違いを検証したという。すると、その結果、両保存形式にて有意差のある相違点は確認できなかったとのことである。

上記のことから、①であっても、②であっても、犬の心原性肺水腫をX線検査で正確に診断できることが分かる。よって、画像診断を専門医に依頼する際に『①と②のどちらで?』と悩む必要はなく、自分自身が務める動物病院で可能な保存方法、専門医の希望に合わせて、ファイル形式を選択することで良いのではないかと考えられる。

心原性肺水腫以外の疾患でも、同様の検証が行われ、小動物臨床における画像診断のデジタル化が更に進むことを期待しております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31364174


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