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犬の軟部組織肉腫に対する「あるペプチド」の抗腫瘍効果を検証するトライアル

投稿者:武井 昭紘

犬の軟部組織肉腫(soft tissue sarcomas、STS)は、皮膚や皮下組織などに発生する様々な間葉系腫瘍の総称で、病理組織学的なグレード分類または病変の大きさ・深さによって、外科手術の難しさ、転移率、再発率が変動する腫瘍性疾患として知られている。そのため、当該疾患は、症例ごとに治療法(外科手術、化学療法、放射線療法)の取捨選択も多様化する傾向があり、決まった一つのプロトコールで事が運ばない「複雑さ」が特徴になっている。つまり、言い換えると、既存の治療法以外にも、まだ誰も気が付いていない「ベストな」治療法が今も何処かに眠っているかも知れないのである。

そのような背景の中、ペンシルバニア大学は、あるペプチドのSTSに対する抗腫瘍効果の有無を検証するトライアルを開始した。なお、同検証では、FNAや生検でSTSと診断または疑われている犬が対象となっており、その中から免疫組織学的に核内因子NF-κB(nuclear factor-kappa B)を介したシグナル伝達経路が病変部に発現している症例が抽出され、NBDペプチド(Nemo Binding Domain peptide)という物質を腫瘍内に注入して経過を観察する予定だとのことである。

上記のことから、本トライアルが成功を収めれば、NF-κBが発現しているSTSに有効な新しい治療法が開発されるものと思われる。よって、ペンシルバニア大学の取り組みに注視するとともに、犬の軟部組織肉腫におけるNF-κB陽性STSの割合が大規模に調査されていくことを願っている。

今回実施されるトライアルでは、肺転移が認められる個体は除外されるとのことです。

 

参考ページ:

https://www.vet.upenn.edu/research/clinical-trials-vcic/all-clinical-trials/clinical-trial/evaluation-of-nemo-binding-domain-(nbd)-peptide-for-dogs-with-soft-tissue-sarcoma


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