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食物不耐症の猫の唾液から抗体を検出する免疫学的研究

投稿者:武井 昭紘

①食物不耐症とは、②食物アレルギーとともに食物有害反応に分類される病態で、一般的に、IgEの関与する食物アレルギーと異なり、免疫学的機序によらない生体反応であると考えられている。しかし、①と②は何も、新人獣医師には鑑別が困難なほどに類似した消化器症状と皮膚症状を呈すること加えて、①の発症メカニズムの全容は解明されていない。つまり、①の病態を解析し、診断法を開発することは、両者を明確に鑑別し、新たな定義を追加するための大きな鍵になり得るのだ。

そのような背景の中、カリフォルニア州に拠点を置くNPOであるHemopetは、1000匹にも昇る①の猫を対象にして、唾液中に含まれる様々な食品に対する抗体(IgA、IgM)の有無を確認する研究を行った。なお、同研究の唾液サンプルは、研究対象の猫にコットンロープ(歯磨き用ロープ)を噛んでもらって採取されている。また、その結果、24種類の食品、例えば、ラム、牛乳、豚肉、小麦、ポテト、米などに対する抗体が検出できたとのことである。

上記のことから、唾液サンプル中の抗体の有無と①を発症する原因となる食品とが再現性高く一致することが立証され、動物医療業界に広く認知されれば、罹患猫が避けるべき食べ物を事前に察知することが可能となる未来が訪れるかも知れない。よって、本研究をキッカケに、猫の食物不耐症、更には、食物アレルギーへの理解が深まることを期待している。

今回紹介した研究では、1000匹の猫が最も高い保有率を示したのが米、最も少ない保有率を示したの小麦だったとのことです。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31390763


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