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物を燃えにくくする難燃剤と猫の甲状腺機能亢進症の関連性を調査するトライアル

投稿者:武井 昭紘

日本薬学会のホームページによると、臭化系難燃剤は、様々な製品(プラスチック製、ゴム製、木製、繊維など)の表面に添加することで、素材と空気中の酸素が接触することを妨げる効果を発揮し、燃焼反応を抑制する性質があるとされている。しかし、一方で、同会は、この難燃剤には甲状腺ホルモンを攪乱する作用があり、健康被害が齎される可能性が否定できないと警告もしているのだ。そして、敢えて触れるまでもないが、猫は、甲状腺機能亢進症という内分泌疾患に罹患することが知られている—–。

 

そのような背景の中、ノースカロライナ州立大学は、過去2年間で甲状腺機能亢進症と診断された1歳以上の室内飼育猫を対象にして、生活環境から曝露される難燃剤の有無を調査するトライアルを開催している。なお、このトライアルでは、試験中に猫に付けてもらう管理タグに付着するリン酸エステル(organophosphate、OPFR)およびポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)について解析されるとのことである。

上記のことから、難燃剤と猫の甲状腺機能亢進症との間にある因果関係が立証され、当該疾患の発症メカニズムの解明、新しい治療法・予防法の開発に一歩、また一歩と近づくことに期待したい。

今回紹介したトライアルでは、1日のうち、22時間以上を室内で過ごす猫が対象になっております。

 

参考ページ:

https://drive.google.com/file/d/1vH84oEBXgEEm-fltN_g_Vjrcxp7YIsGC/view


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