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犬に感染するジアルジアを短期間の投薬にて駆除する治療法について検証した研究

投稿者:武井 昭紘

年間に数億人の感染者を出すとも試算されているジアルジアという原虫は、犬や猫にも感染し、時に腹痛、下痢、脱水等の消化器症状を呈する病原体として、動物医療関係者に広く知られている。また、成書を参考によると、ジアルジア(以下は、Giardia duodenalisについて述べる)は、メトロニダゾール 25mg/kg q12h 5~8日間、または、フェンベンダゾール 50mg/kg q24h 3日間の投与によって駆除できるとされている。しかし、これらの既存の治療法では、投与回数が多いこと、感染を繰り返して(再発して)しまう症例が存在していること、多頭飼育をしている環境下での集団感染のコントロールが困難であることなどの課題を解決できないことが現状である。

そのような背景の中、オーストラリアのシドニー大学らは、シェルターで管理されている状況でジアルジア感染症を罹患した犬を対象にして、人医療において嫌気性菌、ピロリ菌、トリコモナス、ジアルジアに有効とされるニトロイミダゾール系合成抗菌剤の一つ、セクニタゾールの有用性を検証する研究行った。なお、同研究では、セクニタゾール(30mg/kg)の単回投与または2回投与(2週間間隔)という用法・用量が採用されており、成犬と10週齢以上の子犬の全例、10週齢未満の子犬の90%が、副作用を伴うことなく、回復したとのことである。

上記のことから、セクニタゾールは、犬のジアルジア感染症を「効率良く」且つ「安全に」治療できる薬剤の有力候補だと考えられる。よって、今後、症例数を増やした臨床試験が進むとともに、動物用医薬品としてセクニタゾールが製品化されることを期待している。

今後、猫のジアルジア感染症におけるセクニタゾールの有用性・利便性も検証されていくことを願っております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31499401


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