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オーナーの性格と猫の性格や生活スタイルとの関連性を解析した研究

投稿者:武井 昭紘

「此の親にして此の子あり」

日本語には、良くも悪くも子は親の性質を受け継ぐものであるという意味が込められた慣用句が存在している。つまり、子供の個性や考え方は、共に暮らす親の「それ」に影響されやすいということなのだと思う。

 

では、早速、実にシンプルな発想にて、この概念をペット業界へ向けられた疑問に置き換えるが、果たして、ヒトで言うところの親と子、オーナーとペットにも、

『此のオーナーにして此の子あり』

は、当て嵌まるのだろうか?

 

ここに、一つの答えを示した研究がある。

なお、それは、2019年2月、イギリスの大学らによって発表されたもので、3000名を超える猫のオーナーを対象に、自分と愛猫の性格および生活スタイルについてアンケートを依頼し、その集計データを統計学的に解析して、以下の結果が得られたとのことだ。

◆オーナーの性格の分類◆
①Agreeableness:協調性
②Conscientiousness:誠実性(感情や行動をコントロールする力)
③Extroversion:外向性
④Neuroticism:神経症的傾向(不安、緊張、ストレスの感じやすい性格)
⑤Openness:開放性(知的好奇心の強さや想像力の豊かさ)

 

◆オーナーと猫の性格・生活スタイルとの関連性◆
・①に該当するオーナーの猫は健康面・行動面で問題が抱えていることが少ない(オーナーの満足度も高い)
・②に該当するオーナーの猫は攻撃性が低く不安や恐怖を感じにくいが、集団で行動することを好む
・③に該当するオーナーは屋外に猫を出す傾向が強い
・④に該当するオーナーの猫は攻撃的で不安や恐怖を感じやすい
・➄に該当するオーナーは愛猫が屋外へ出ることを厳しく制限する

 

上記のことから、オーナーの性格は、猫の性格または生活スタイルに大きな影響を及ぼすことが窺え、とくに、②または④に該当するオーナーと猫の性格は、『此のオーナーにして此の子あり』と言えるのではないだろうか。よって、今後、同様の研究が、異なる文化圏、例えば、アメリカやアジアなどでも実施され、オーナーの性格に合った猫種の選定方法や、猫の問題行動と「オーナーの自身が持つ性格・考え方」を一緒に是正する新たな治療法の開発が進められることに期待している。

今回紹介した研究では、④に該当するオーナーは、純血種ではない猫を飼育する傾向が強いことも分かっております。

 

参考ページ:

https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371%2Fjournal.pone.0211862


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