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消化管症候群のウサギが致死的経過を辿る可能性を高めるファクターに関する研究

投稿者:武井 昭紘

犬猫に次ぐ人気を誇るペットと言って過言ではないウサギは、食餌、飼育環境、ストレス、基礎疾患などによって容易に消化管運動が低下し、胃や腸に食物がうっ滞する、いわゆる、ウサギ消化管症候群(rabbit gastrointestinal syndrome、RGIS)を起こすことが知られている。また、当該疾患に罹患した個体の病態は、元気消失、食欲・糞便量の低下、消化管内ガスの貯留から死の転帰を辿るものまで様々であるとされている。しかし、ある症例が致死的経過を辿ってしまうように働きかけるファクターについては、現在でもなお、詳細に把握されていない。

そのような背景の中、マサチューセッツ州に位置するタフツ大学は、2014年6月から2016年6月に至る約2年間に付属動物病院を訪れた120匹近いRGIS症例を統計学的に解析する研究を行った。すると、RGISに陥った約72%の個体が生存し、28%が斃死または安楽死となり、36.6度以下に低下した直腸温度が死亡する可能性を5倍に高めることを突き止めたとのことである。

上記のことから、RGIS症例は比較的良好な経過を辿ることが窺えるが、罹患個体を診察する獣医師は、彼らの直腸温度を常にモニタリングするように意識すること(亡くなるリスクを高めるファクターの有無を確認すること)が望ましいと考えられる。

付属動物病院を訪れたウサギを母集団にした時、RGIS症例は、母集団の24%を占めていたとのことです。

 

参考ページ:

https://avmajournals.avma.org/doi/abs/10.2460/javma.255.7.837


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