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世界で初めて猫から作成された心筋細胞に分化するiPS細胞

投稿者:武井 昭紘

◆iPS細胞とは◆
人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells)の略称で、本来、分化する方向における多能性を失っている体細胞、例えば、皮膚細胞や線維芽細胞などに遺伝子を導入することで、再び、様々な性質を有する細胞へと分化できる能力を獲得した細胞のことである。

 

2019年9月24日、イギリスの獣医科大学(Royal Veterinary College。RVC)は、このiPS細胞に関する重要な発表をホームページ上に公開した。

なお、同大学によると、今まで野生の猫科動物でのみ可能であったiPS細胞の作成を、一般家庭で飼育されている、いわゆる、「猫」を用いて、世界で初めて成功させたとのことである。また、加えて、この猫のiPS細胞を心筋細胞へと分化させることも実現したというのだ。そして、これを受け、RVCは、現在、英国内で飼われる猫の約15%、100万匹が罹患していると試算されている肥大型心筋症(Hypertrophic cardiomyopathy、HCM)の研究が劇的に進むのではないかと期待している。

上記のことから、今回紹介した猫のiPS細胞は、動物医療にける猫の診療レベルを大きく引き上げる起爆剤となると思われる。よって、今後、心筋細胞へ分化した猫のiPS細胞を用いた研究が、(出来ることであれば世界各地で)数多く進められていくことを願っている。

心筋細胞へと分化する猫のiPS細胞は、500人に1人が抱えているとされるヒトのHCMの研究へも貴重な情報を与えてくれると、RVCは述べております。

 

参考ページ:

https://www.rvc.ac.uk/research/programmes/comparative-physiology-and-medicine/news/new-breakthrough-in-creation-of-feline-stem-cells-could-help-develop-cure-for-heart-disease-in-cats-and-humans


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