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キアリ様奇形に罹患したキャバリアの痛みを緩和させるパルス電磁場療法に関する臨床研究

投稿者:武井 昭紘

日本でも高い人気を誇り、一次診療施設でも遭遇することの多いキャバリア・キング・チャールズ・スパニエル(Cavalier King Charles spaniels、CKCS)は、後頭骨の構造的な異常などを原因として小脳が頭蓋骨の外へと脱出するキアリ様奇形に罹患しやすい犬種として広く認識されている。また、このキアリ様奇形を抱えるCKCSは、頭頚部付近に違和感や痛みを感じているとされており、一般的に、これらの「嫌な感覚」が、罹患個体のQOLを悪化させるとも考えられている。つまり、キアリ様奇形に苦しむCKCSの福祉向上を考慮すると、当該疾患における疼痛管理の確立が大変に重要であると言えるのだ。

そのような背景の中、ノースカロライナ州立大学は、MRI検査によってキアリ様奇形および脊髄空洞症と診断されるとともにファントムスクラッチを行うCKCSを対象に、パルス電磁場(pulsed electromagnetic field、PEMF)を用いた疼痛管理の有用性を検証する臨床試験を開始することを発表した。なお、PEMFは、人医療にて、神経障害に伴う疼痛、うつ病、パーキンソン病の症状を改善することが報告されている医療技術である。

上記のことから、PEMF療法の有用性が立証されれば、薬剤の副作用で悩んだり、外科手術へ踏み切れない家庭で飼育されている罹患個体を「嫌な感覚」から解き放つことが叶うと思われる。よって、同臨床試験が成功を収め、PEMF療法に関するガイドラインが作成されることに期待したい。

今回紹介した臨床試験では、キアリ様奇形および脊髄空洞症とは異なる疾患に関連した痛み、または、痒みを呈する個体は、対象外となるとのことです。

 

参考ページ:

https://drive.google.com/file/d/1quYEzq-Kot1CJ4ZD5d_2skaTHBJ5tOOg/view


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