2019年現在における世界の人口は、約77億人。そして、2030年には85億人、2050年には100億に達するとも試算されている。つまり、人口減少に歯止めがかからない日本の少子化問題とは全くの逆で、世界では年々、ヒトの数が増え続けているのである。しかし、ここに、暗い影を落とす社会問題が目前に迫っていると、以前より叫ばれていることはご存知のことと思う。
食糧危機だ。
フードロスの多い日本にいると忘れてしまいがちではあるが、世界各地では、今すでに、飢餓・栄養不良を原因に亡くなってしまう人々が後を絶たない状況である。おそらく、人口が今のペースで増えれば、グローバルかつ絶対的な食糧不足は深刻化し、その危機は、何倍にも膨れ上がるのだろう。そうなれば、ヒトでも食べられる食材を使った高品質のペットフードは、市場から姿を消すかも知れない—–。
この点に懸念を示したのが、イギリス獣医師会だ。
なお、2019年8月27日に同会ホームページにアップされた記事によると、先進国をも巻き込むであろう未来の食糧危機の救世主は、タイ、ガーナ、中国、メキシコなどで食文化を形成している「昆虫」に含まれる良質なタンパク質であるとして、今後、昆虫飼料から作られたペットフードの普及に努めるとのことである。また、同記事において、前述した理念を後押ししてくれるような研究・開発を奨励するとも宣言している。
上記のことから、ヨーロッパにて、大きな社会問題を解決すべく、ペットフードの昆虫飼料化が進むかも知れない。よって、その波が本国へと到来した時に備えて、日本で働く獣医師・動物看護師も、昆虫飼料に対する理解と見識を深める(肯定または否定する材料を得る)必要があると思われる。
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