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Animal Pain Awareness Month~ペットの感じる痛みを理解し代弁する9月の啓蒙月間~

投稿者:武井 昭紘

『痛いから食欲が無いのかな?』
『この病気には疼痛が伴うとされている』
『これから行う手術は痛いであろう』

共通言語の無い多種多様な動物たちを診療対象としているため、加えて、オーナーがペットの代わりに症状を述べて主訴が形成されているため、小動物臨床における痛み(疼痛)とは、常に、「他覚症状」である。故に、獣医師および動物看護師には、彼らの感じている「痛みを察する」意識を持ち続けていることが求められており、例え、忙しく目まぐるしい診療業務の中であっても、その姿勢は決して忘れてはならないものだと言える。

そこで、早速であるが、前述した非常に大切なことを心に留めておくべく、皆様に、9月の30日間に指定されている「Animal Pain Awareness Month」という啓蒙月間について紹介したい。

 

始まりは、2001年。

米国慢性痛協会(American Chronic Pain Association)が、医療従事者、政治家、一般人、コミュニティの大小などを問わず、自分自身や他者の「疼痛」を理解し、より良い生活を送ることを目的に、Pain Awareness Monthを9月に設けたことだ。その影響を受け、フロリダ州に拠点を置く国際獣医疼痛管理学会(International Veterinary Academy of Pain Management、IVAPM)が、獣医療関係者から一般の方まで幅広く、動物たちが受ける「疼痛」について学び、「痛い」という感覚を代弁できるようになろうという理念を掲げて、Animal Pain Awareness Monthが同月に定められるようになった。

 

そして、現在では、海外の獣医科大学が、この啓蒙月間に合わせて、疼痛管理セミナーを開催するまでに発展している。

狂犬病ワクチン接種およびフィラリア予防の時期を過ぎて、職場に慣れた新人獣医師も多いかとは思うが、動物病院を訪れるペットの痛みには、『これくらなら大丈夫か』などと慣れることなく、秋に差し掛かるも猛暑日が続く9月の間に、しっかりと、IVAPMがAnimal Pain Awareness Monthを設けた意味を熟考して頂けると幸いである。

IVAPMのホームページには、Animal Pain Awareness Monthをお知らせするためのポスターのPDFデータもありますので、ご覧になってみて下さい。

 

参考ページ:

ivapm.org/animal-pain-awareness-month/


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