「奈良時代以前、もしかしたら、縄文時代の時から?」
起源は良く分かっていないが、蕎麦は、古くから日本人に馴染みのある食材であったことは確かなようである。それを裏付けるように、現代社会においても、蕎麦は、『引っ越ししたら…』、『年越しの時は…』などのライフイベントにも密着した浸透ぶりをみせていることは、改めて言うまでも無いだろう。だからこそ、『愛犬にも食べさせてみよう!』と考えるオーナーも多いのではないかと、筆者は推察しているのだ。
しかし、この発想は、どうも国が違えば事情は異なるようで、犬に蕎麦を食べさせることが病気に繋がると考えられている場合もあるらしい—–。
2019年8月、ドイツおよびスロべニアの大学らが、蕎麦を与えられていた犬に肝臓病が発生したことをキッカケにして、犬の肝臓病と蕎麦の関連性を調査する研究を行い、以下に示す発表をした。
◆蕎麦を食べている犬における肝臓病の有病率◆
・調査はドイツとロシアで実施した
・ロシアでは、コントロール群と蕎麦を給餌された群での有病率の差はなかった
・ドイツでは、両者の有病率には9倍もの差があり、蕎麦を給餌された群では32%に達していた(コントロール群は3.5%)
・ドイツとロシアの蕎麦の実は、色、糊化の程度に違いがみられた
・蕎麦の実を煮た時にでる「あく」をロシアの文献では取ることを薦めているが、ドイツでは特に触れられていない
上記のことから、インターネットや動物専門雑誌などで散見する「犬は蕎麦を食べられる」という表現は、正確ではないと言えるのではないだろうか。つまり、厳密には、「犬は日本(ロシア)の蕎麦なら食べることができる」という言い回しが正しいのだと思われる。よって、旅行や移住にて、愛犬と一緒にドイツを訪れる機会に恵まれた際には、蕎麦の実の原産地に細心の注意を払って頂けると幸いである。
参考ページ:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31434124