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サプリメントを投与された犬における尿中コンドロイチン硫酸濃度を解析した研究

投稿者:武井 昭紘

ヒトと同様に、犬猫にも、膀胱炎などの下部尿路疾患が起きることが知られており、現在、動物用の療法食や医薬品をリリースする会社が、膀胱の粘膜を丈夫にするという名目で、コンドロイチン硫酸を構成成分とした製品を数多く販売している。また、海外の製薬メーカーでは、類似体の一つ、ポリ硫酸ペントサン(日本での商品名はカルトロフェンカルトロフェンベット)の注射薬に、「膀胱炎治療」の効能を付随させる動きもみられるようになってきた。しかし、ペットの下部尿路疾患に、これらの成分が有効であるか否かについては、未だ議論が尽くされておらず、獣医師個々人によって見解が分かれている現状にある。

そのような背景の中、ウィスコンシン大学は、臨床上健康な犬を対象にして、コンドロイチン硫酸を含有するサプリメント投与後のおける膀胱尿のコンロイチン硫酸濃度(urine chondroitin sulfate concentration、uCS)を解析する研究を行った。なお、同研究では、uCSと尿中クレアチニン濃度(urine creatinine concentration、uCrea)の比を用いて、①投与前と②投与後の変化が比較されている。すると、①に比べて、②では、前述した比が1.9倍に上昇することが判明したとのことである。

上記のことから、サプリメントの投与で、膀胱粘膜は尿を介してコンドロイチン硫酸に触れていることが推察できる。よって、今後、膀胱炎症例における同様の研究が大規模に進められれば、当該成分の有効性に関して、ある一定程度の結論が出るものと思われる。

コンドロイチン硫酸を含むフードやサプリメントが効かない膀胱炎の犬におけるuCSと、効いている犬のuCSを比較する研究を行うと、新たな見解が得られるかも知れません。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31339761


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