ニュース

ロイヤルカナンが提唱しているペットを標準体型で維持するための5ヶ条

投稿者:武井 昭紘

犬猫の飼育頭数がそれぞれ7000万匹を超えると推定されているアメリカ合衆国において、標準的な体重よりもオーバーしている、つまり、過体重または肥満と判定できる個体は、犬で全体の約56%、猫で約60%を占めると試算されている。これは、オーナーと獣医師の体型評価には有意な差があるとした研究を基にすると、おそらく、オーナーが獣医師よりも、愛犬・愛猫の体型を過小評価しているからではないかと捉えることができる。しかし、このような過体重・肥満に陥った動物は、心臓関節、呼吸器(熱中症のリスクも高まる)、皮膚など、様々な器官・組織にトラブルを抱えやすい上に、動物病院でのハンドリングが非常に難しいという特徴があるため、病気に罹りやすく、検査や治療がしづらいといった何とも悩ましい存在になってしまうことは、多くの先生方から実感を伴った賛同を得られるものと推察している。

要するに、ペットの体重管理は、現代の動物医療が直面した目下の大きな課題と言えるのだ。

 

そのような背景の中、2019年7月、世界的な療法食メーカーであるロイヤルカナン社および動物栄養学を追究するウォルサム研究所は、犬猫が健康的な体型を維持するための大原則とも捉えられる5ヶ条を明記した声明を以下の通り発表した。

◆愛犬・愛猫を標準体型で維持するための5ヶ条◆
①子犬・子猫の適正体重は専用の成長チャートで確認する
②与えるフードはグラム単位で計測する(計量カップを使うと最大80%のカロリーオーバー)
③減量用フードについて知って検討する(参照:運動量と減量フードの記事)
④副食を制限する(1日に必要なカロリーの10%までに抑える)
➄愛情表現や遊びの延長上でペットに食べ物を与えない

 

筆者は、前段にて「大原則」と表現したが、世界中の全てのペット飼育世帯で簡単に実現できる程、同社らの提唱する5ヶ条は容易なハードルだとは思っていない。だが、この5ヶ条に従えば、必ずやペットの体重管理は成功するとは思っている。よって、読者の皆様は、是非とも、本稿で紹介した声明を良いキッカケとして、ペットの健康を守り、最大限の獣医療サービスを提供あるいは享受するために、オーナーとしてペットにどう接するべきか、獣医師としてどのようにオーナーに指示を出すべきかについて、改めて考えて頂けると幸いである。

計量カップで計ると必要カロリー以上のフードを与えてしまうことは、研究によって示されておりますので、オーナーの皆様には、デジタルの計量器を使用することをおススメ致します。

 

参考ページ:

https://www.newswire.ca/news-releases/healthy-weight-starts-with-healthy-habits-strategies-to-give-your-pet-the-best-chance-at-a-long-healthy-life-802872696.html


コメントする