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猫パルボウイルスの遺伝子を「迅速に」検出できるLFD-RPA法の開発

投稿者:武井 昭紘

猫のパルボウイルス(FPV)感染症は、著しい免疫力(白血球数)の低下や激しい消化器症状(下痢、嘔吐)などの症状を呈し、致死的経過を辿ることもある疾患である。そのため、罹患猫の異変に逸早く気が付き、迅速に対症療法(食餌管理を含む)を施すことが重要であると考えられるのだが、院内でFPVの存在を証明する検査法は充分に確立されているとは言えず、あくまでも補助的に、「犬」のパルボウイルス検出キットに依存していることが現状となっている。

そのような背景の中、北京に位置する中国農業大学らは、FPVを特異的に発見できる遺伝子学的および免疫学的検出法の開発を目的とした研究を行った。なお、同手法では、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(Recombinase polymerase amplification、RPA)と呼ばれる等温(人肌程度)での遺伝子増幅技術と、lateral flow dipstick(LFD)と称される抗原抗体反応の可視化技術を融合したシステム(LFD-RPA)を採用しており、36~40℃という低い温度で、且つ、15分という非常に短時間で、FPVのDNAを検出できるとのことである。

上記のことから、このFPV検出法の有用性が世界的に認められることとなれば、院内におけるFPV感染の迅速診断が実現するかも知れない。よって、一日でも早く、今回紹介した検出法を基にしたキットが製品化し、グローバルに流通していくことを願っている。

将来的に、LFD-RPAという技術が動物病院内における感染症検査に革新を齎すことを期待しております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/31216435/


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