ニュース

慢性腎臓病に罹患した猫における制酸剤の効能を明文化するためのトライアル

投稿者:武井 昭紘

血漿成分から原尿を生成し、尿細管での再吸収と分泌によって尿を作り出すといった腎臓の働きが弱まると、動物の体内に代謝産物が蓄積され、全身状態は悪化していく。いわゆる、慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease、CKD)の概要だ。おそらく、いや間違いなく、このCKDは、新人からベテランまでの殆どの臨床獣医師が幾度となく経験する病気であり、治療法の大枠は先人たちの研究によって「ほぼ完成」している泌尿器疾患と言えるのではないだろうか。

しかし、食欲が低下して嘔吐を呈する猫のCKD症例における制酸剤の使用に関してとなると、忽ちに、様々な意見がぶつかり合うものと推察している。

 

「果たして、CKDを罹患した猫に制酸剤は効くのか?」

ここに着目して、その真実を明文化しようと試みるトライアルの公募が、ノースカロライナ州立大学によって始められた。なお、同大学によると、前段に記したようなCKDと診断された猫(食欲低下および嘔吐を伴う)を対象として、プロトンポンプ阻害薬であるオメプラゾールの有用性を検証する臨床試験を計画しているとのことだ。

上記のことから、今回紹介したトライアルが完遂されれば、CKDに対する制酸剤使用の是非について、ある一定程度の結論が出ると思われる。よって、トライアルに参加した症例のデータを基に、制酸剤の使用を念頭に置いたCKDの治療ガイドラインが作成されることに期待したい。

本トライアルでは、身体検査、血液検査、尿検査など、トライアルに掛かる費用は無料であるとのことです。

 

参考ページ:

https://drive.google.com/file/d/182pGigyXTAiKxAefNKqI6_nWJkBoxz0J/view


コメントする