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尿試験紙の正しい使い方を改めて考えたイギリスの大学の研究

投稿者:武井 昭紘

尿試験紙は、動物病院で迅速かつ簡易的に様々な尿性状を把握する手法の一つとして広く流通しているツールであり、スポイトやシリンジなどに吸引した少量の尿を「垂らす」だけで検査が実施できるといった非常に高い利便性を誇る「小動物臨床の必須アイテム」だと言って過言ではない。しかし、同製品を造ったメーカーの添付文書にある使用方法を改めて読み返すと、尿に試験紙を「浸す」と記載されており、尿を「垂らす」とは書かれておらず、小動物臨床における尿試験紙の使い方では、正確な検査結果を得られないかも知れないと考えることができる。

そこで、エジンバラ大学は、尿試験紙を①尿に浸す(dip)方法と②尿に垂らす(drip)方法による結果の相違点に着目し、小型尿分析装置を用いて客観的に比較する研究を行った。すると、興味深いことに、pHと潜血において①と②の結果が不一致になり、②のみにおいてグルコースが陽性になる可能性が高くなることが明らかになったとのことである。

上記のことから、院内での採尿またはオーナーに尿を持参してもらった時点で、試験紙を浸すに足る量の尿が確保できた際には、②ではなく、①で検査を進めることが望ましいものと思われる。

糖尿病の犬猫を対象にした同様の研究が進められると、尿試験紙の検査精度を低下させないポイントやコツが、更に詳しく判明するのかも知れません。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31187512


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