2017年10月に公開されたカリフォルニア大学およびテキサスA&M大学らの発表によると、犬の第12番染色体上にあるFGF4遺伝子(FGF4 retrogenes on chromosomes 12、12-FGF4RG)は、四肢の長さを短くする形質を表面化させるとともに、椎間板ヘルニア(intervertebral disc disease、IVDD)の発症リスクを50倍以上に跳ね上げるとのことで、この遺伝子と犬のIVDDは明らかに強く関連していると言える。しかしながら、12-FGF4RGが、どのように「IVDDになりやすい状況」を創り出すのかについて詳細なメカニズムは解明されておらず、今後の研究の進展に期待するところとなっている。
そこで、カリフォルニア大学とベルン大学らは、外科手術を適応したIVDDの犬500匹以上を対象に、12-FGF4RGの有無とその影響力に関して、症例データを解析した。すると、12-FGF4RGを有する犬では、X線検査で認められる椎間板の石灰化が早く進行し、IVDDを発症するタイミングが低年齢化することが明らかになったとのことである。
上記のことから、12-FGF4RGが椎間板を石灰化させる機序に着目した研究が進められ、当該遺伝子の機能の全容が明らかになることを期待したい。また、その研究が、将来的に、IVDDの発症を遅らせる治療法、ないしは、発症を予防する方法の開発へと繋がることを願っている。
参考ページ:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31181696