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ヒトを惹き付ける程に表情豊かな犬の表現力に着目した比較解剖学

投稿者:武井 昭紘

多くのヒトにとって、犬の円らな瞳や豊かな表情は、非常に可愛らしく微笑ましい感情を抱かせてくれるものであることは言うまでもないであろう。そして、この絶対的な魅力が現代社会における強力な生存戦略となって、ヒトを惹き付け、私たちは、『守りたい』、『世話をしたい』という衝動に駆られるのだと思われる。

 

それにしても、前述のような犬の表現力は、どこからきているのだろうか?

ここに、一つの答えを提示した研究がある。

 

なお、同研究を公開したアメリカおよびイギリスの大学らによると、①タイリクオオカミと②犬の顔面に分布する筋肉の解剖学的な相違点を比較したところ、②では内側眼角挙筋(levator anguli oculi medialis muscle、LAOM)という眼周囲の筋肉が発達している一方で、①ではLAOMが殆ど認められなかったとのことである。よって、大学らは、LAOMの存在が、犬の眉の動きに躍動感を齎し、オオカミには無い圧倒的な表現力を与えていると結論付けている。

上記のことから、表情を豊かにするLAOMは、犬の感情表現やコミュニケーションにも大きな役割を担っているものと推測できる。従って、今後更なる研究が進み、LAOMの動きを観察し利用した犬の行動学、しつけ方法、疼痛管理の手法が考案・確立されていくことに期待している。

オオカミと犬の比較解剖学を追究すると、ヒトが犬の気持ちをより良く理解するキッカケになるのかも知れません。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31209036


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