現在、犬の糖尿病の管理・治療では、高すぎる血糖値を低下させるインスリン療法が一般的であり、自宅にて1日2回、愛犬にインスリンを注射することが通例となっている。しかし、1日2回の投与が必要な薬剤は、単純な計算をすると、1週間に14回、1ヶ月に約60回、1年間に約730回もの高頻度で使用することが求められるということに他ならず、言い換えると、年末年始、大型連休、クリスマスなどにおいても例外なく継続する必要があることを意味しており、オーナーのQOLを著しく損なってしまうリスクを孕んでいるとも考えることが出来る。
そのような背景の中、ニューヨークの東、マサチューセッツ州に位置するタフツ大学は、冒頭に記したインスリン療法の時間的な負担を軽減するために開発された超長時間作用型インスリン(ultra-long-lasting insulin)の有用性を検証する試験的研究を行っている。なお、同研究は、臨床試験の形式を採用しており、リンク先に明記された条件に合った個体を対象にして、超長時間作用型インスリンを週に1回投与し、2~3週間以上のモニタリングをするという内容である。
上記ことから、今回紹介した研究が成果を上げ、週1回の投与で糖尿病を管理できる犬用インスリン製剤が世界各地へ流通すれば、自宅療養のハードルは大きく下がり、オーナーのQOLも劇的に改善することが予想できる。よって、一日でも早く、安全性試験をクリアした超長時間作用型インスリンが普及するとともに、使用に関するガイドラインも併せて作成されていくことを願っている。
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