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犬の進行性網膜萎縮症への関与が強く疑われる新しい遺伝子の発見

投稿者:武井 昭紘

ダックスフント、レトリバー種、スパニエル種などの一部の犬種は、RPGRIP1(Retinitis pigmentosa GTPase regulator-interacting protein 1)またはPRCD(Progressive rod-cone degeneration)の変異に伴って網膜に異常をきたす進行性網膜萎縮症(progressive retinal atrophies、PRA)という遺伝性の眼科疾患を発症し、暗い場所で物にぶつかる、いわゆる、夜盲症を呈し、最終的に失明に至ることが広く知られている。しかし、遺伝学的にPRAを罹患すると予想される個体の中には、症状の発現を免れる例が存在しており、PRAの遺伝様式は、いまだ完全に解明されていないと考えられている。

そのような背景の中、ヨーロッパの大学ら、2019年5月、PRAの発症に関与していると思しき新しい遺伝子を発見したことを発表した。なお、大学らによると、同腹仔7匹中3匹がPRAを発症したジャイアント・シュナウザーの家系で、全ゲノム配列決定を実施したところ、NECAP endocytosis associated 1(NECAP1)とよばれる遺伝子に変異を発見したとともに、3例全てで、ホモ接合した変異遺伝子の存在が確認できたとのことである。

上記のことから、PRAの発症に、NECAP1は深く関与しているものと思われる。よって、今後、当該遺伝子と網膜の機能に焦点を当てた研究が進み、PRAという病態がより詳細に解析され、根治療法の開発へと繋がることを期待している。

PRA の早期発見も重要ですが、今回紹介した研究をキッカケに、光を失った犬が視力を取り戻す治療法も検討されることを願っております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/31117272/


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