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「Anti-vax」という脅威に対抗するイギリス獣医師会の情報発信

投稿者:武井 昭紘

『そのワクチン、必要ありますか?』

 

これは、イギリス国内の獣医師の実に98%が、オーナーから懐疑的に訊ねられた質問の内容である。

このような事態に関連して、イギリス獣医師会(BVA)は、「Anti-vax」という言葉とともに発信されるネットやSNS上の誤情報に危機感を募らせている。なお、Anti-vaxとは、ワクチネーションプログラムに対する否定的な見解を持ち、ワクチン接種を躊躇または拒絶する行為のことで、現在、ツイッター上ではハッシュタグ(#antivax)とともに様々主義・主張が展開されていることに加えて、世界保健機構(WHO)が掲げるTen threats to global health in 2019(2019年に健康被害が懸念される10の脅威)の一つにも挙げられているグローバルな社会問題を意味する。

故に、BVAは、動物病院を訪れるオーナーへとAnti-vaxの概念が広まっていくことを非常に恐れており、現在、ツイッターアカウント(@BritishVets)を介して、#VaccinesWorkというハッシュタグを添えた動画をアップして、「ワクチンの働き」を積極的に啓蒙している。

 

SNSの拡散力、そして、感染症に対するワクチンの予防効果を考慮すると、Anti-vaxは対岸の火事と楽観視できるものではないと言える。よって、動物およびヒトの命を守るためにも、日本の獣医師会、動物関連企業、動物病院が協力して、改めて、ペット飼育世帯にワクチンの重要性を訴える啓蒙活動を行うことが急務の課題なのではないだろうか。

冒頭の質問を受けたことのある獣医師の95%は、ペットオーナーはインターネット上に公開されている情報に影響を受けるという印象を持っているとのことですので、今回紹介したBVAの情報発信は、絶え間なく続けることが大切なのだと思います。
(画像の出典:akizou@写真AC )

 

参考ツイッターアカウント:@BritishVets

参考ページ:https://www.who.int/emergencies/ten-threats-to-global-health-in-2019


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