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イングリッシュ・ブルドックを飼育しているオーナーと獣医師の間にある感覚の差を明らかにした研究

投稿者:武井 昭紘

イングリッシュ・ブルドッグ(English bulldogs、EB)を始めとする短頭種は、頭部、体感、四肢に皺が寄った皮膚を有しているために、その部分が擦れて、蒸れやすく、皮膚疾患を患うことが非常に多い。しかし、彼らの抱える皮膚トラブルを全てのオーナーが気にする訳ではなく、診察を担当する獣医師は気になるが、オーナーには伝わらない皮膚科症状というものが、小動物臨床の現場には溢れているものと思われる。

そのような背景の中、フィンランドのヘルシンキ大学らは、EBが罹患した皮膚炎の重症度とオーナーの意識度を調査し、彼らの皮膚疾患に潜む「現実」を発表した。なお、同大学らによると、対象となった30匹弱のEB全てにおいて、スコアリング評価(詳細は文献をご参照下さい)にて皮膚炎または外耳炎が認められたものの、オーナーの約40%は、その兆候に気が付いてさえいなかったとのことである。

上記のことから、EBのオーナーへ向けた皮膚疾患についてのインフォームド・コンセントや啓蒙は、その他の犬種のオーナーへ向けた「それ」と一線を画すことが望ましいと思われる。よって、本研究をキッカケにして、EBのオーナーにも理解してもらいやすい「皮膚トラブルの説明方法」が、検討・考案されていくことを願っている。

フレンチ・ブルドッグ、パグなど、EB以外の短頭種のオーナーも同様に、皮膚症状に気が付いていないのか否かについても調査が進むことを期待しております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31037780


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