4人に一人。
イギリスの王立獣医科大学(Royal Veterinary College、RVC)が試算した獣医師が何らかの精神疾患を患う割合である。
これは、獣医療という特殊な職場環境ならではのプレッシャー、緊張感、難しい人間関係(オーナーや職場の同僚)に加えて、重症となったペットの治療とその後の避けられない別れを、日々、度重ねて経験する動物病院スタッフの精神は非常に疲れやすく、落ち込んだ気分を持ち上げることが大変に困難であることを如実に表している数字なのではないかと思う。
つまり、精神的負荷を強く受けている獣医師・動物看護師には、手を差し伸べて、気分の落ち込みを抑える「誰かの精神的なサポート」が必要だということなのだ。
そこで、本稿では、RVCの取り組みを一つ紹介したい。
「Mental Health Awareness Training」
同プログラムは、獣医関係者に広く門戸が開かれており、ストレスマネジメントの実現と精神衛生の向上のために、5月30日の9:30~17:00、実に7時間半をかけて、メンタルヘルスケアを習得し、相談相手の見つけ方を学び、個々人が精神的負荷の「前兆」に気が付いて、どうのようなサポートを受けるべきかを知ることを目標に掲げている。
筆者は、このような取り組みは本国でも必要であると考える。
動物の命を守り、あらゆるオーナーのペットライフを全面的にバックアップできる可能性を秘めた獣医師・動物看護師という職種を選んだ皆様が、健やかに、そして、幸せを感じながら、小動物臨床へと邁進できるように、1日でも早く、日本版Mental Health Awareness Trainingが計画・実行されることを切に願っている。
参考ページ: