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犬における去勢手術と術後の尿失禁の関連性を明らかにした統計学的研究

投稿者:武井 昭紘

イギリスの王立獣医科大学(Royal Veterinary College、RVC)が有する大規模な症例データベースVetCompassによると、不妊手術の受けることにより、メス犬は約3倍も尿失禁を患いやすくなるという—–。

 

前述のような事実を知ると、ある疑問を抱くのは、何も筆者だけではないと推察する。

『オス犬の場合は、尿失禁を起こしやすくならないのだろうか?』

 

読者の皆様の予想通りかも知れないが、この問いに一つの答えを出したのも、また、VetCompassを基にした統計学的研究であった。

なお、2018年11月に「その答え」を発表したRVCらによれば、英国内の動物病院119件から提供された約11万件のオス犬の診療記録を解析した結果、約1%の個体に尿失禁が認められたものの、メス犬の尿失禁とは様相が異なり、去勢手術と尿失禁の発症リスクに因果関係は存在していなかったとのことである。

上記のことから、この統計データは、去勢手術を検討しているオーナーに対するインフォームド・コンセントに活用できると考えられる。よって、愛犬が去勢手術に臨む際に生じるデメリット(知人が飼うメス犬の不妊手術で起きた尿失禁の話など)を大変に心配されているオーナーと話す機会を得た獣医師は、是非とも、自らの経験に今回紹介した「答え」を添えて、安心材料を提示してもらえると幸いである。

同データには、ジンクスのような摩訶不思議な事実も記載されており、ペット保険に加入している犬は、加入していない個体よりも、尿失禁に1.9倍なりやすいとのことです。

 

参考ページ:

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/jsap.12951


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