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スマートフォンを用いた犬の心電図検査の実現可能性を探った研究

投稿者:武井 昭紘

小動物臨床における心電図検査は、現在、動物病院という「特殊な環境」で、つまり、犬猫が緊張しやすい状況下で測定されることが非常に多い。一方、ヒトのために開発された心電図モニタリングシステムは、多種多様なスマートフォンおよびウェラブルデバイスがリリースされていることからも明白な通り、いつでも気軽に、且つ、自分の意志で実行できるメリットを有し、大変に高い利便性を誇る。よって、以上、2点を総合すると、世界中に普及しているポータブル電子機器を用いたペットのための心電図モニタリング法の確立は、近未来を形作る「デジタル獣医療」の一翼を担うと期待できる。

そこで、フィンランドのヘルシンキ大学とトゥルク大学は、犬を対象にして、スマートフォンをモニタリング機器として利用する心電図検査の実現可能性を探る研究を行った。なお、同研究では、下記に示すような2つの手法が採用されている。

◆スマートフォンによる心電図検査の概要◆
①Sony Xperia(OSはGoogle Android)に搭載された電極不要の心電図検査機能
②AliveCorという心電図検査システム(スマートフォンと手指を載せる小型電極)

 

そして、研究の結果は、①において、パンティングなどの犬の動きで基線が乱れることが改善点であるものの、①②ともにR波が出現するタイミングは一致しており、院内で実施したホルター心電図に「類似」した波形を検出することに成功したとのことである。

このことから、①をペット用に改良する、または、②の再現性を確保するガイドラインの作成により、ペットにおけるスマートフォンを用いた心電図モニタリングは、ヒトのそれに肩を並べることが充分に可能であると考えられる。

今回紹介したシステムを、犬のみならず、猫にも応用できるように研究が進むことを願っております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31014339


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