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犬の小腸に発生した腫瘍性疾患における最適な外科的マージンを模索した研究

投稿者:武井 昭紘

外科手術を適応することがベストとされる腫瘍性疾患では、接種部位肉腫に関する記事にて例を紹介したように、腫瘍組織に隣接する正常な組織、いわゆる、マージンを如何ほどに設定するかが議論の的になることが多く、更に、このマージンは、術後管理(疼痛管理)にも大きな影響を与える非常に大切なことであるとも認識されている。故に、多岐に渡る腫瘍性疾患の数々を一つずつ丁寧に見つめ、「理想的なマージン」を常に追い求める姿勢が、今後の獣医療の発展に寄与するものと思われる。

そこで、2019年2月、イギリスの動物病院らが発表した「ある」報告を紹介したい。

 

なお、同報告では、犬の小腸に発生した腫瘍における最適なマージンに着目して、摘出した腫瘍組織27件分の病理検査にて切除範囲の評価を行っており、以下に示す結果を得たとのことである。

◆小腸に発生した腫瘍の種類とマージン◆
・癌腫:3cm
・肉腫:2cm
・リンパ腫:4cm以上

 

上記のことから、小腸腫瘍は、最初に、リンパ腫(4cm以上)と非リンパ腫(2~3cm)を鑑別することが、マージンの設定・想定にとって大変に重要であると考えられる。よって、今後、大規模な臨床研究で再現性の有無が検証され、痛み・侵襲度を最少限に抑えたグローバルな術式が完成することを期待している。

本研究における各症例の経過が追跡され、再発の有無と外科的マージンとの関連性が解析されると、論文の結論における正当性が更に強化されるのかも知れません。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30779310


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