マダニは、一次診療でも比較的良く遭遇する犬猫の外部寄生虫であり、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、つつが虫病、日本紅斑熱などの病原体を媒介する動物としても広く知られている。故に、世界各国では、マダニの種類と分布域をアップデートし続けることを大変に重要視しており、効率的な疫学的調査を実現する手法の確立を常に模索している。
そのような背景の中、オランダのユトレヒト大学らは、マダニの疫学的調査を目的として、近年急速に普及しつつあるスマートフォンにダウンロードできるアプリケーション「Tekenscanner」を開発し、リリースした。すると、同アプリは、2018年5月から6月をピークに5500を超えるダウンロードを記録して、1200件以上のマダニの地理的分布を取得でき、1000匹以上のマダニ(研究所に送付されたマダニの解析)の同定および媒介している病原体の特定を達成したとのことである。
上記のことから、未来の疫学的調査は、一般家庭の大多数が所有しているデジタル機器を介してリアルタイムに情報を収集する形式が採用されることが、最も効率的なのかも知れない。よって、厚生労働省または獣医師会が中心となって、日本における「デジタル疫学的調査」を推進するアプリケーションが開発されていくことを期待している。
参考ページ:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30909941