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真偽不明の「ペットに纏わるウワサ」にビッグデータの統計学で答えた研究

投稿者:武井 昭紘

雑種(ミックス)の犬は丈夫である。
不妊・去勢手術を受けると寿命が延びる。

などなど、動物を飼育している人々の間には、真偽の程が分からない「ペットに纏わるウワサ」のような伝承があり、小動物臨床に携わる獣医師であれば、一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。しかし、おそらくは、明文化されたデータ・文献または臨床経験に基づいた「事実」だと確信しない限り、これらの話に、新人の獣医師が同意し、共感し、オーナーとのコミュニケーションに遣うことは非常に難しいものと推察している。

 

そこで、2019年3月に発表されたワシントン大学らの「ある論文」を紹介したいと思う。

なお、同論文によると、アメリカ国内に位置する800件弱の動物病院に一定期間(2010年1月1日~2012年12月31日)で2回以上来院した症例(237万匹の犬)を対象に生存曲線を作成したところ、約18万匹が当該期間中に斃死しており、この斃死例から以下に示す事実が明らかとなっったとのことである。

◆18万匹ものビッグデータが教えてくれた統計学的な事実◆
・ミックスは純血種よりも寿命が長い
・不妊去勢手術を受けていない個体の寿命は短い

 

上記のことから、統計学上、冒頭で述べた2つの事項は、肯定されたものと捉えることができる。よって、是非とも、新人獣医師は、これから飼う犬の種類についての悩みや不妊去勢手術への躊躇いをオーナー(オーナー候補を含む)から伺った際には、ウワサではなく、今回紹介した統計学的事実を提示し、彼らの相談に乗って頂けると幸いである。

超音波スケーリングによる歯科治療を行った個体の寿命は延びるという統計学の結果も確認されたとのことです。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30870610


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