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パルボウイルス感染症に罹患した犬を致死的経過から救う治療法の開発

投稿者:武井 昭紘

犬のパルボウイルス(Canine parvovirus、CPV)感染症は、白血球の減少を伴う消化器症状を主体とし、若齢犬が短期間のうちに致死的経過を辿ってしまう危険な病気として知られているが、現在の獣医療では有効かつ根本的な治療法は確立されておらず、ワクチン接種による予防医療が最も重要とされているウイルス性疾患と表現することができる。だが、このような側面を僅かに視点を変えてシンプルな発想で捉えると、病態の進行、例えば、白血球の減少や消化器症状の発現を軽減、あるいは、根治できれば、「CPV感染症=致死的」という逃れられないリンクから脱却できるのではないかと考えられる。

そこで、イタリアのバリ大学らは、白血球減少症(WBCが3000個/μL未満)を呈するCPV感染症の犬における白血球数のコントロールに着目して、組み換え型顆粒球コロニー刺激因子(recombinant canine granulocyte-colony stimulating factor、rcG-CSF)の有用性について検証を行った。すると、プラセボ群(死亡率16%)に比較して、rcG-CSF投与群の個体の死亡率(0%)が改善することが明らかとなったとのことである(用法用量については文献をご参照下さい)。

上記のことから、CPV感染症では、白血球数を参照値の範囲内に収めることが、非常に効果的な治療法であると思われる。よって、今回紹介した研究を基にして、CPV感染症に対するrcG-CSF療法に関するガイドラインが作成されていくことを期待している。

本研究では、rcG-CSF投与群において、好中球ではなく、リンパ球および単球数が顕著に増加したとのことです。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30955806


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