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血管肉腫に罹患した犬における骨格筋転移の実態を明らかにした研究

投稿者:武井 昭紘

ヒトの悪性腫瘍では、原発病巣から全身へと「転移」していく現象が起きることが広く知られており、そのうち5%未満を骨格筋転移(Skeletal muscle metastases、SMMs)が占めるとされ、予後不良を示す所見の一つであると考えられている。しかし、小動物臨床におけるSMMsの実態に触れている研究に目を向けると、人医療ほどに充分に議論が尽くされていると言えず、将来的に解明を試みるべき課題となっているのが現状である。

そこで、イタリアの大学らは、全身のCT検査を実施した血管肉腫(hemangiosarcoma、HSA)の犬60匹以上を対象に、SMMsの有病率を突き止める研究を行った。すると、約24%にあたる15匹の個体にSMMsが検出され、うち9匹には動くことを嫌がる行動(破行を含む)が認められることが明らかとなったとのことである。

上記のことから、同研究にて、ヒトと同様に、ないしは、ヒトよりも頻繁に、悪性腫瘍に罹患した犬においてSMMsが起き得ることが示唆されたものと思われる。よって、今後、小動物臨床で遭遇する様々な腫瘍性疾患でも、SMMsの有病率が算出され、それに続く予後(治療経過)が明らかになっていくことを願っている。

今回紹介した研究では、統計学的な有意差を持って、オス犬でSMMsが起きやすいことも発表されております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30793807


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