ニュース

ワクチン接種の価値を改めて考えるWorld Veterinary Day Award 2019

投稿者:武井 昭紘

小動物臨床におけるワクチネーション、特に、狂犬病ワクチンの接種プログラムは、世界各地において年間に何万人もの犠牲者を出す危険なウイルス感染症の発生を抑止するために効果的であり、犬のみならず、ヒト、猫、大動物への狂犬病ウイルスの蔓延を喰い止める「One Health」を叶える可能性を秘めた防疫対策と言え、世界保健機構(WHO)を中心に提唱された「2030年までに狂犬病を撲滅するための計画」からも、その重要性が窺える。

しかし、実際のところ、狂犬病予防法という法律を有する日本であっても、ワクチン接種率は70%台(厚生労働省のホームページを参照)に留まっており、シャルル・ニコルの法則をクリアするボーダーラインを僅かに上回っているのみで、世界的に見れば、狂犬病ワクチンの普及すら進んでいない地域が非常に多いというのが現状である。

そこで、世界獣医師連盟(WVA)および国際獣疫事務局(OIE)は、今年開催されるWorld Veterinary Day Award 2019のテーマを「ワクチン接種の価値」に設定したことを公開した。

なお、同イベントでは、2500ドル(約28万円)を懸けて、テーマに則した活動を発表するコンペティションが行われるとのことで、ペット、大動物、ヒトの命を守り、抗生剤の使用頻度を抑えるために有用なワクチン接種を実現する新しいアイデアが発掘されることに期待が集まっている。

上記のことから、World Veterinary Day Award 2019を契機として、2030年計画を達成する起爆剤となるような狂犬病ワクチン接種プログラムが誕生することを大いに期待している。

今年のWorld Veterinary Dayは、4月27日です。

 

参考ページ:

http://worldvet.org/news.php?item=406


コメントする