近年、犬の急性膵炎(acute pancreatitis、AP)と血清中クレアチニン濃度(CRE)の関連性に注目が集まっており、APの予後は、CREを含むスコアリングシステムで客観的に判定できるという研究結果も報告されている。つまり、この事実を基に単純に発想すると、犬のAPは、腎障害・腎不全の指標ともなるCREと深く関わっているように考えられ、APの予後は、腎機能の低下と連動しているのではないかと推測できる。
そこで、イタリアのピサ大学は、犬のAP症例における生死と、急性腎障害(AKI、IRIS分類にて判定)の有無に着目をして、統計学的解析を行った。すると、APに加えてAKIの続発が起きていると診断が下された個体は、下されていない個体よりも、有意に予後不良となる可能性が高いことが明らかとなったとのことである。
上記のことから、APに罹患した犬の診察を担当し、入院にて管理しようと検討する獣医師は、その症例の腎機能について詳細に把握し、モニタリングに努めるべきであると考えられる。
参考ページ:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30819430