犬の糖尿病は、一般的に「インスリン依存性」で、ヒトのI型糖尿病の病態に近いと考えられている。また、このI型糖尿病は、免疫細胞が膵臓ランゲルハンス島に局在しているβ細胞を攻撃することが始まりであるとされており、いわゆる、自己免疫疾患に分類されているのだが、詳細な発症機序は、未だ解明に至っていないのが現状である。つまり、これらの事実を総合して纏めると、発症機序の全容を明らかにすることが叶えば、ヒトのI型糖尿病、ひいては、犬の糖尿病に対する新しい治療法の開発も可能となるかも知れないと考えられる。
そこで、以下の研究を紹介したい。
2019年2月、アメリカの大学らは、糖尿病に罹患したヒトおよびマウスの膵臓組織のβ細胞が老化マーカーで染色されることに着目して、in vivoにて、糖尿病モデルマウスに「老化細胞を排除する薬剤」を投与したところ、正常なβ細胞は機能を保ち、インスリンを分泌し続けることが確認できたと発表を行った。
上記のことから、老化したβ細胞を排除する治療法は、糖尿病の発症を予防する、ないしは、糖尿病の病態進行を抑える医療技術として、非常に有用であるものと思われる。よって、今後、早い段階で、本研究に使用された薬剤が、犬の糖尿病に対しても有効であるか否かについて検証されていくことに期待している。
参考ページ:
https://www.cell.com/cell-metabolism/fulltext/S1550-4131(19)30021-X