犬猫の腎疾患の診断およびステージジングでは、罹患個体の尿に含まれるタンパク質の有無と濃度、つまり、タンパク尿が一つの指標となっている。しかし、腎疾患症例におけるタンパク質代謝の全容は、現時点で、解明されておらず、前述のように重要視されるタンパク尿(腎臓からタンパク質が体外へと流出していくこと)に焦点を当てた「治療」について、成書・獣医学雑誌で触れられていることは非常に少ないことが実状である。
そこで、アメリカの大学らは、腎疾患の治療に「腎臓からのタンパク質の喪失」という観点を加えるための研究を行った。なお、本研究にて、同大学らは、タンパク漏出性腎症(protein-losing nephropathy、PLN)の犬に起きる血漿中アミノ酸濃度(AA status)の変動を観察しており、臨床上健康な犬に比較して、PLNの個体では、AA statusが有意に低下していることを突き止めている。
上記のことから、AA statusは、PLNの病態の一端を示唆しているものと思われる。よって、今後、AA statusと、PLNの治療反応性や予後との間にある関連性について検証が実施され、当該疾患、ひいては、他の腎疾患に対するアミノ酸補充療法が確立されることを願っている。
参考ページ:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30784117