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ロタウイルス感染症に関する新たな見解を提唱するキッカケとなる研究

投稿者:武井 昭紘

ロタウイルスとは、ヒト(特に小児)に急性感染性胃腸炎を起こす危険な病原体で、世界では、年間50万人の子供が犠牲になっているとも言われている。一方で、小動物臨床に眼を向けると、このウイルスは、ヒトからヒトへと伝播する感染症であり、ヒトから犬猫への感染は起きないと考えられており、獣医療を悩ますような流行は、原則、起きないとされている(日本獣医学会のホームページを参照)。

しかし、この定説を覆すかも知れない研究が、2019年2月に発表された。

なお、中国の四川省に位置する西南民族大学によると、急性下痢症を呈する犬の糞便から、ヒトおよび豚の間で循環しているロタウイルスの遺伝子が検出されたとのことで、同大学は、ヒト・豚に加えて、犬の中でもロタウイルスが循環している可能性について、今回の研究結果が重要な意味を示唆してるのではないかと結論付けている。

上記のことから、中国に限らず、世界各地にて、原因不明、または、急性胃腸炎と診断の下された犬において、ロタウイルス感染症の有病率を明らかにする大規模な疫学的調査を行う必要があるものと思われる。

愛犬家と犬を飼っていない世帯でのロタウイルス感染症の発生件数を比較すると、新たなロタウイルスの実態が見付けられるかも知れません。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30796978


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