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慢性腎不全の犬における尿路感染症のリスクに迫った細菌学的研究

投稿者:武井 昭紘

統計学的な数値を提示できないことを大変申し訳なく思うが、今までの臨床経験を基にすると、慢性腎不全(CKD)と診断を下された犬猫の中に、診断後、時間を置いて、膀胱炎を発症する個体が一定数、存在しているような印象を受ける。つまり、筆者は、CKDを罹患した個体の一部が、何らかの膀胱炎のリスク因子を抱えているのではないかと思うのだ。

そこで、今回は、この仮説の真偽に迫った「ある研究」を紹介したい。

2019年2月、フランスのリヨン大学らの発表した報告によると、獣医学の教育機関に付属する動物病院で診察した200件を超える犬のCKD症例から膀胱穿刺にて尿を採取し、培養検査を実施したところ、3割以上の個体において細菌が検出され、そのうち、8%にあたる5件で尿路感染症(LUTD)の兆候が見られたとのことで、同大学らは、今後、細菌尿の臨床的意義を検証していく必要があると結論付けた。

上記のことから、将来的に、細菌尿と犬のLUTDとの因果関係が明らかとなれば、CKDの治療またはCKD症例におけるLUTDの治療・予防に関して、新たな見解が追加されることが、充分に期待できるのではないだろうか。

本研究では、培養検査にて最も頻繁に検出された細菌は、大腸菌とのことです。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30767319


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