動物愛護法に規定された文言を読み解くと、「動物には命がある」という旨を感じることができるが、その一方で、多くの民事・刑事に関わる法律において、「動物は物である」という考え方が、今もなお、非常に根強い印象を受けてしまう。
しかし、この「物扱い」は、動物を愛してやまないヒト達にとって、大きな違和感と反発する感情を抱かせるポイントであり、世間を騒がせるような動物虐待事件への判決などで、時折、物議を醸し出すことは、多くの方に同意してもらえると推察している。
果たして、本当に、ヒト以外の動物は物なのか?
そこで、本稿でも、海外で起きた動物に纏わる「ある出来事」を通して、皆様に考えて頂きたいと思う。
2019年2月28日、BBCニュースのウェブページにアップされた記事によると、ドイツのアーレンという町の役人が、税金の滞納をしている世帯からの税徴収を目的として、その家庭で飼育されていたパグを押収したとのことである。
このように聞くと、役所が一時的に犬を預かって、税金を納める代わりに犬を返還するつもりなのだと予想できるのだが、事態は思わぬ方向へと進んでいく。
アーレンの役人が、押収した犬を、飼い主に費用を支払わせる意図で、世界的なオークションサイトe-Bayに750ユーロ(約95000円)で出品してしまい、本来の飼い主とは別人が落札してしまったのだ。
この役人の判断と行為を、どのように感じるだろうか。本来、税金滞納分として押収されるものは、「物品」であると思うのは、筆者だけだろうか。
今一度、読者個々人にて、真剣に動物の命と向き合って欲しい。
本当に、動物は物なのか?
そして、特に、獣医学部生・新人獣医師は、画像に添付した「更なるトラブル」を獣医師として受けるか否かについても、自分自身が経験したことのように考えて頂けると幸いである。
参考ページ:
https://www.bbc.com/news/world-europe-47401439