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急性膵炎を罹患した犬の入院管理における予後を判定する臨床スコアリングシステム

投稿者:武井 昭紘

犬の急性膵炎(acute pancreatitis、AP)は、小動物臨床で比較的よく遭遇する救急疾患で、主に、内臓痛、嘔吐、下痢などを呈し、重症例では、致死的経過を辿ることもある消化器のトラブルである。故に、入院加療の判断が下されることもあるのだが、その甲斐無く斃死する個体と、無事に退院の日を迎えられる個体との間にある相違点については、いまだ、不明な点が多く、今後、獣医学が克服するべき課題の一つとなっている。

そこで、スイスおよびフランス大学らは、APを発症した犬における斃死を予測するための臨床スコアリングシステムを開発する研究を行った。具体的には、同研究では、2通りの採点方式が検証されており、それぞれ、①CAPS(犬の膵炎重症度判定、SIRSの有無、凝固障害、クレアチニン、イオン化カルシウムの4項目の点数化)、②簡易版CAPS(SIRSの有無の代わりに呼吸数)と呼び、160例を超える罹患犬からデータが集積され、統計学的に解析されているとのことである(結果についてはリンク先をご参照下さい)。

なお、「今回の研究結果のみで判断するならば」と仮定するが、特に、①では感度、②では特異度について改良を重ねて、精度を向上させることが叶えば、いずれ、①②ともに一次診療施設にて直ちに実践できる予後判定基準となり得るものと考えられる。よって、将来的に、改編され高精度化した①または②が、獣医師とオーナーで一緒に愛犬のAPの治療方針を決められる大きな鍵となることに期待している。

本研究では、入院30日以内における犬のAPの予後が解析されたとのことです。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/30770578/


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