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犬の股関節形成不全に対する新たな診断手法を開発した研究

投稿者:武井 昭紘

犬の股関節形成不全(股異形成、canine hip dysplasia、CHD)は、股関節の疼痛や亜脱臼、跛行、運動を嫌がるなどの症状を呈するとともに、臨床症状、身体検査、X線検査によって診断され、日常生活または業務(ワーキングドッグの場合)への支障を考慮して、治療方針が決定される整形外科疾患である。しかし、前述した診断手法は、原則、臨床経験を要するものが多く、経験の浅い新人獣医師にとって、忙しい診療業務の中で、冷静に、且つ、適切に取り組むことが非常に難しい技術となっていることは否めないのが現状である。

そこで、今回の記事にて、アメリカの大学らの試みを紹介したい。

 

2019年2月、ミズーリ大学およびピッツバーグ大学は、CHDを診断できるバイオマーカーの開発に関する発表を行った。なお、同大学によると、血清中または尿中に含まれる4つのマーカー(文献にて参照下さい)によって、感度は95%、特異度77%の確率で、CHDの有無が判定できるとのことである。

 

上記のことから、極軽度のCHDや、既存の診断法にてCHDだと自信を持って確定できない症例において、バイオーマーカーによる診断は、大変に有用であると思われる。また、今後の研究の進展によって、CHDの重症度判定と治療方針決定にも、同マーカーが有用と立証されれば、CHDの診断・治療ガイドラインは、大きく変貌を遂げるかも知れない。

今回紹介した研究では、成犬が対象となっているとのことです。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30720210


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