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組織工学を応用して検証された小動物臨床における創傷治療

投稿者:武井 昭紘

カリフォルニア大火災の被害を受けた動物の救済をキッカケにして生まれたティラピアスキン療法のように、小動物臨床における皮膚の創傷治療では、コラーゲンの存在が非常に重要であると考えられており、コラーゲンを足場にした上皮系細胞の再生能力のサポート技術の開発が、今後、発展を大いに期待される研究分野の一つとなっている。

そのような背景の中、2018年8月、ブラジルの大学らが、組織工学によって作成されたコラーゲン生体膜(細胞無し)の有用性を検証する研究を行った。なお、同大学らによると、2度の熱傷をおった犬猫の皮膚を生体膜で置換して隣接する正常な皮膚に縫合すると、最大で1日1平方センチメメートルの皮膚が再生されていくことを確認したとのことである。

上記のことから、熱傷、つまり、欠損した皮膚組織を補うための治療法として、コラーゲン生体膜の移植が有用であることが考えられる。よって、将来的に、皮膚の感染症、腫瘍などに起因して欠損した皮膚組織に対しても、この生体膜が適応できるかについて検証されていくことを願っている。

本研究は、症例を3ヶ月から6ヶ月の間、追跡して、経過観察をすることも発表されておりますので、今後の動向にも注視していきたいと思います。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30687496


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