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ある一定条件を満たす犬が抱えるエキノコックス症のリスクに関する報告

投稿者:武井 昭紘

2018年3月から4月にかけて愛知県知多市周辺で発見された犬のエキノコックス症は、ヒトに重大な肝疾患を齎すズーノーシスとして認識されている一方で、犬では、感染しても臨床症状を示さない不顕性感染(糞便中に虫卵を排泄)に終わるという対比的な病態を形作ることが知られている。しかし、この犬におけるエキノコックス症の不顕性感染は、ある一定条件下の個体には通用しない可能性があることを示唆する論文がチューリッヒ大学より発表された。

なお、同大学によると、3歳齢のラブラドール・レトリバーが多胞性エキノコックス症(alveolar echinococcosis、AE)を患い、重度の肝疾患に陥ったとのこで、最終的に安楽死の決断が下されたというのだ。加えて、この報告では、もう一つの現象について触れられており、発症した個体は出産をした5週後からAEに関連する臨床症状を呈した という事実が記載されていた。

そして、これらを基に、チューリッヒ大学は、犬がAEを発症するリスクファクターの一つとして、妊娠・分娩が挙げられるのではないかと結論付けている。

上記のことから、愛知県を含めたエキノコックスの分布域での犬のブリーディングは、犬およびヒトのAEに対して細心の注意を払うべきであると考えられる。

妊娠を含めたライフサイクルや免疫機能が低下する様々な疾患を対象に、犬がAEを発症するメカニズムついて検証されていくことを期待しております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30658368


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